前回は、相続税の節税として贈与は、
大変有効な対策であること、
ただし、どのような財産を
贈与するかで効果が大きく異なること、
また、現金の贈与に比べて、
不動産の贈与が効果が大きいと
お伝えしました。今回は、
贈与を検討する際に、早めに
贈与するとメリットが大きい財産等
についてお伝えします。
◆早めに贈与すべき財産とは?
早いうちに贈与したほうが得な財産は、
大きく分けると2つの種類があります。
1つ目は、マンションや駐車場のように、
持っているだけでお金を生んでくれる
財産(収益財産)です。収益財産を
家族に贈与すると、その後の不動産収益は
家族に移転し、高額所得者にとっては
その分所得が減るため、毎年の所得税・
住民税が少なくなります。
例えば、課税所得1,800万円超4,000万円以下
の部分については所得税・住民税の税率は
合計50%となっており、この税率に該当する人が
年間収益300万円の物件を贈与すると、
所得税等が150万円減少することになります。
一方、贈与を受けた家族は、この収益財産以外の
所得がなかった場合、所得税・住民税の税率は
非常に低く、60万円程度の負担で済むことになります。
2つ目は、将来値上がりしそうな財産です。
土地の贈与は、地価上昇局面においては
地価が上がる前にできるだけ早く、
地価下落局面においてはできるだけ
下がりきってから実行するのが、効果的です。
とはいえ、地価の上昇や下落は、誰にもわかりません。
ただ、区画整理や都市開発事業等が予定されて
いるような土地であれば、今後、値上がりが
期待できる土地といえるのかも知れません。
好立地の土地を活用すれば、当然収入が入ってきます。
すでに高額所得者である方が、さらに収入を得て
貯めていけば相続財産を増やすことになり、
かつ、その収入に高い税率の所得税等もかかります。
もちろん、土地等を活用して収入が増えることは、
決して悪いことでありません。相続税や所得税が
高くなるとは言え、増えた収入以上に税金が
増えることはありません。また、上記のように
贈与をうまく活用することにより、より効率的に
節税ができるケースもあります。
ただし、収益財産の家族への贈与は、贈与税の負担や
諸費用について注意すべき点が多くありますので、
実行には細心の注意が必要です。
笹井