前回は、36協定を締結している場合でも
時間外労働について一定の限度時間が
定められているというところまでみました。
しかし、この時間内にも収まらない場合も
存在します。そうした場合には、36協定を
締結する際に「特別条項」というものを
付けて協定を締結することが認められています。
「特別条項」とは、臨時的に、限度時間を
超えて時間外労働を行わなければならない
特別の事情が予想される場合には、
従来の限度時間を超える一定の時間を
延長時間とすることができるというものです。
これはあくまで、従来の限度時間を
超えることが恒常的ではなく、
一時的・突発的なものであるというような、
特別の事情がある場合に限られます。
したがって、毎月毎月限度時間を超えて
時間外労働をさせるような協定は
締結することはできません。そのため、
限度時間を超える場合の上限回数は
1年の半分(6回)までと定められています。
ただ、これまで特別条項付きの36協定において、
時間の上限については、労使当事者間の
自主的な協議による決定に委ねられており、
法令等の制限はなかったため、実質は
上限なく時間外労働をすることが認められていました。
これが長時間労働を助長させる原因と
なっているとの指摘もあり、今後は
罰則付きの時間外労働の上限規制の
方向へと動いていくことが予想されています。
長時間労働は、従業員の健康障害を
発生させる原因となることが
医学的にも明らかにされており、
過労死やメンタルヘルス不調者の
増加に関わる重大な問題と考えられています。
企業は労働時間を削減し、生産性を
向上して成果を上げることを
優先するべきですが、法定時間外労働時間数が
一定の範囲を超えたような場合には、
医師への面談等を積極的に促すなど、
社員の健康障害の予防に努めることも
今後のあるべき企業の姿と言えるのではないでしょうか。
中村
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