前回は「教育資金」と「結婚・子育て資金」の
一括贈与の概要についてご説明しました。
今回は、一括贈与の制度を利用しない場合
についてみてみたいと思います。
親子間など扶養義務者から生活費や
教育費に充てるために取得した財産で、
「通常必要と認められるもの」は
贈与税の非課税となります。
教育資金、結婚や子育て資金の贈与
についても、この非課税の範囲に
含まれます。
●扶養義務者の範囲
①配偶者
②直系血族及び兄弟姉妹
③家庭裁判所の審判を受けて
扶養義務者となった三親等内の親族
④三親等内の親族で生計を一にする者
●非課税となる贈与費用の範囲
①生活費
その人にとって通常の日常生活に必要な費用
(治療費、養育費その他これらに準ずるものを含む)
②教育費
被扶養者の教育上通常必要と認められる
学資や教材費、文具費など(義務教育費に限られません)
「通常必要と認められるもの」とは、
贈与を受けた者の必要性と贈与をした者の資力
その他一切の事情を勘案して、
社会通念上適当と認められる範囲の財産をいい、
特定の限度額は定められていません。
◆扶養義務者からの贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A
(参考:国税庁ホームページ)
Q.数年間分の生活費・教育費を一括して贈与を受けた場合
A.贈与を受けた財産が生活費又は教育費に充てられずに
預貯金となっている場合、株式や家屋の購入費用に
充てられた場合等のように、その生活費又は教育費に
充てられなかった部分については、贈与税の課税対象
となります。
Q.婚姻に当たって子が親から金品の贈与を受けた場合
A.婚姻後の生活を営むために、家具、寝具、家電製品等の
通常の日常生活を営むのに必要な家具什器等の贈与を
受けた場合、又はそれらの購入費用に充てるために
金銭の贈与を受け、その全額を家具什器等の購入費用に
充てた場合等には、贈与税の課税対象となりません。
Q.子の結婚式及び披露宴の費用を親が負担した場合
A.結婚式・披露宴の内容、招待客との関係・人数や
地域の慣習などによって様々であると考えられますが、
それらの事情に応じて、本来費用を負担すべき者それぞれが、
その費用を分担している場合には、そもそも贈与に該当せず
贈与税の課税対象となりません。
Q.出産に当たって検査・検診、分娩・入院に要する費用を親が負担した場合
A.生活費には治療費も含まれます。出産に要する費用
(保険等により補てんされる部分を除く)も治療費に
準ずるものであることから、贈与税の課税対象となりません。
また、生まれてくる子供が通常の日常生活を営むのに
必要なものの購入費(寝具、産着等ベビー用品)に
充てられる金銭の贈与も贈与税の課税対象となりません。
Q.子が居住する賃貸住宅の家賃等を親が負担した場合
A.被扶養者と扶養者の資力その他一切の事情を勘案し、
社会通念上適当と認められる範囲の家賃等を親が
負担している場合は、贈与税の課税対象となりません。
その他、個人から受けるご祝儀
(結婚祝い、出産祝い、入学祝い等)の金品は、
社交上の必要によるもので贈与をした者と
贈与を受けた者との関係等に照らして
社会通念上相当と認められるものについては、
贈与税の課税対象となりません。
「生活費又は教育費に充てられなかった部分」の判定は、
実際困難ですので、必要な都度、直接生活費等に
充てるために贈与することがポイントです。
例えば、学費を贈与する場合には、学費に充てるために
「現金で手渡す」などあいまいにせず、
学校に直接振り込むようにすることが賢明です。
笹井