「教育資金」と「結婚・子育て資金」の一括贈与について①

平成25年度税制改正により、

「直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」が、

また、平成27年度税制改正により、

「直系尊属から結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の贈与税の非課税制度」

がそれぞれ創設されています。

 

これらの制度は、直系尊属である父母や

祖父母などから子や孫などに対して、

教育又は結婚・子育てに使途を

限定した資金を一括贈与することにつき、

贈与税が非課税となる制度です。

 

両制度の概要は似ていますが、次表のような違いがあります。

上記の比較での最大の違いは、

贈与者が死亡した場合の取り扱いにあります。
結婚・子育て資金の一括贈与は、

贈与者が死亡した時点で、

一括贈与をうけた資金のうち

まだ使用していない残額がある場合に、

その残額に対して相続税が課税されます。

 

一方、教育資金の一括贈与の場合は、

贈与者が死亡した時点で残額があったとしても

相続税の課税はありません。

 

両制度の適用を受けるには、

金融機関に専用口座を開設し、

一定期間内に領収書等を

提出する必要があります。

 

また、将来的に贈与税の負担となる

可能性もあります。一度口座を作り贈与をすると、

それを戻すことが不可能な制度となっていますので、

安易にこの制度を使用した場合、

老後の生活資金に不安が生じる

恐れもあるので注意が必要です。

父母や祖父母に多くの余裕資金があり、

子供や孫が結婚・子育てで経済的に

困っている場合や、子供や孫が大学・

大学院に進学して勉強することを

望んでいる場合には、この制度を利用する

意味があるといえます。

 

なお、教育資金、結婚や子育て資金の贈与については、

これらの制度を利用しなくても、親子間など

扶養義務者から生活費や教育費に充てるために

取得した財産で、「通常必要と認められるもの」は

贈与税の非課税となります。

次回は、この贈与税がかからない財産についてみてみたいと思います。
 

                      笹井


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